NOTORO

 能美島の背骨である野登呂山と向かい合い照応する位置。「山」の稜線のイメージと膨らみ-高低と懐の深さ-前後、裾野の拡がり-左右など、「山」の造形的要素を3つの構造体として作品化したものである。重機を使った設営で剥き出しになった地面にはクローバーの種と麦の種を蒔いた。能美島の多面性や可能性を予感させる空気を孕んだ「場の作品」となった。夜間は赤、青、緑のフィルターを通した投光により、淡い色光のフレーム構造が交錯し、闇間に漂う宇宙船のように「幻想の空間」を生み出した。

φ2.5亜鉛メッキ鉄パイプ(210R×31本、260R×10本、725R×6本、400×15本、300×6本、200×36本)、仮設電柱、タイマー、投光器(500W×2基、350W×3基)、カラーフィルター、真砂土(10t)、コンクリート塊(1t)、種子(クローバー10kg、麦10kg)左側 150×400×1,500 中央 φ520 右側 φ300×L1,100

NOTORO

空地-原っぱに風が吹いてきて   〈NOTORO〉を風が吹き抜けた
風を孕んでかすかに揺れた     森の木の小枝も揺れていた
フレームの中に入ってみると     壁がないのに内部を感じる
見上げると空が広く見えた     外に包まれた内があった

NOTORO

雨上がり、掘った窪みに雨水が溜った
暗くなると、光のフレームが映り込んだ
思いがけない自然のいたずらに
誰もが驚いて、歓んだ