空白の庭

 森林公園へ向う緩やかな登り道と山裾の道とが交差する角。箱庭のような地形に周囲の自然や風景を感じ取り、「生」の空白を読み取る屋外の「書斎」をイメージした机状の形態が地面に立っている。鏡状のステンレス板は見る位置によって異なった光景を映し出し、台上の錆は半年間という時間の経過を記す「場の作品」となった。夜間は内部に裸電球が灯り、机状の形態も錆も闇に染まり、外部と内部の空間と時間を一体化した「闇と光の庭」となった。

電球 (40W×3個)、真砂土(6t)
鉄板 (1.6×304.8×152.4)×2枚、(1.6×243.8×121.9)×3枚
ステンレス (0.2×243.8×121.9)×1枚  (0.2×200×100)×2枚

空白の庭

5月、新緑の草よりも大地がよく見えていた
〈イメージの森〉は、切り出したばかりのように
サーモンピンクの木肌を晒していた
まるで夕陽に照らされているようだった

森の木々は上に伸びるために、根は譲り合って拡がるとか
“建築途中”“未来都市”“音階のよう”“裸形の森”
さまざまな人がさまざまなイメージを言葉にした
見えないものが見えたのだろうか

空白の庭

白けた現実が眠りにつくころ
忘れかけた記憶が蘇る
光を包み込む闇、闇を照らし出す光
光と闇の間に佇む〈イメージの森〉